2024.07.16
久しぶりにお墓参りにいった際に、お墓にシミや汚れがついていて故人に申し訳ない気落ちになったことなどあるのではないでしょうか。
ここではそのような方のために、お墓の掃除方法と専門の業者の選び方などを紹介します。
墓石は基本的に屋外にあるので、必ずといっていいほど汚れが付着してしまいます。
付着する汚れの原因を知ることで、取るべき対策がわかります。
墓石の汚れには大きく分けて2種類のタイプがあります。
ひとつは、ホコリ、花粉、鳥のフンなどの外的な原因と、もう一方はコケやカビの他に前述の外的なものが蓄積されて形成されたシミなどがあります。
どちらも放置しておくと、汚れが取れにくくなるので気付いた際には早めの掃除が望まれます。
墓石の効率的な掃除手順は次のような方法があります。
墓石を掃除する際には、まずお墓周辺の掃除から取り掛かるのがマナーです。
雑草などを刈り倒して動きやすくしてから開始しましょう。
墓石の掃除は、水で洗い流すことで汚れの8割が落ちます。
まずは表面についた汚れを、水で濡らしたスポンジなどを使用してキレイに洗い落としましょう。
水鉢、花立、線香立てなどの小物入れの掃除なども忘れないようにしましょう。
取り外せるものは、全て取り外して容器の裏までキレイに洗いましょう。
水鉢などの水気が多いものの側には、カビや苔が発生しやすくなるので注意してみましょう。
全てをキレイに洗った後に、最後に今一度墓石の全体に水を流してから、墓石全体を空拭きしましょう。
濡れたままだとカビの原因や、再度浮遊している汚れが付着しやすくなります。
お墓を磨く際には、デッキブラシなどでゴシゴシ磨くと汚れが落ちた気になります。
しかしながら汚れを落とす面では正解ですが、墓石を傷つけてしまい傷に汚れが付着しやすくなります。
できれば柔らかいスポンジやブラシで洗うのがよいでしょう。
家庭用の「酸性系」や「塩素系」の洗剤を利用して洗うと、墓石を痛める原因になる恐れや、シミや変色を発生させることにもなるので、石材専用の洗剤を利用すると安心です。
食器などと石材は材質が異なるので、十分に注意しましょう。
お掃除の際には、前述で紹介した柔らかいスポンジをはじめ、ゴミ箱やバケツ、軍手、剪定用のハサミがあると便利なので用意しましょう。
墓石の文字部分や彫刻などは、特にシミなどになりやすい傾向にあります。
墓石に彫り込んだ箇所には、水や埃が溜まりやすいのでカビの発生がしやすくなります。
掃除の際は、特に念入りなお手入れが必要です。
彫刻の溝などは掃除しにくいので、軍手を濡らして手で擦ったり、小さなブラシで擦るとキレイに汚れが落ちます。
その際に、硬いブラシで擦ると塗装がハゲて色褪せの原因になるので注意しましょう。
お墓をキレイに保つには、定期的なメンテナンスや次のような注意事項を守る必要があります。
お墓を掃除するタイミングは人それぞれと言われますが、理想的には月に1度お参りした際に掃除をするとよいでしょう。
しかしながら、近隣に住まれていない場合に頻繁に訪問することができないので、お盆、お彼岸、命日などの前に掃除をするとよいでしょう。
このようなタイミングは、親族が集まりやすいので分担して掃除をすると効率的です。
お墓の掃除で最も重労働で時間が掛かるのが草むしりです。
長時間中腰で草を抜く作業などは、ご年配の方には難しいものです。
雑草対策で有効なのは、除草剤をまいて根本から根絶する方法と、玉砂利を使用して雑草を抜きやすくする方法があります。
墓地によっては除草剤が禁止されている場所もあるので、そのような場所では玉砂利の利用が効果的です。
お墓にお供えするお花は、生花でなくてはならないイメージがありますが、実際のところ造花でも問題ないとされています。
頻繁にお墓に行けない方などは、お花が枯れて散らかるのを抑止することができます。
夏場などは特に枯れやすいので、美しい状態を保つことができる造花は重宝されています。
宗教や地域、墓地などでは造花を好まない場所もあるので事前に造花での対応が可能か確認するとよいでしょう。
造花もさまざまな種類が発売されており、本物と見分けがつかないものも多くあるので、有効利用するとよいかもしれません。
お墓が外的要因で汚れたり劣化することは避けることができませんが、特殊なコーティング剤を使用することで墓石を汚れから守り、劣化するのを防止して長持ちさせる方法もあります。
防汚コーティングには主に「アシスコート」と「スターシャイン」の2種類があります。
それぞれの特徴は以下のようです。
アシスコートは含浸型のコート剤で、石材の表面に塗布するのではなく内部に浸透させて防水層の形成をおこないます。
水溶性で揮発物質を含まないのが特徴で、刺激臭もなく人体にも優しいコート剤になります。
塗布後の効果は約3年~5年間で、水拭きだけで汚れが落ちやすい状態を保ちます。
スターシャインの原料は、アコキシシラン化合物を主成分とした無溶剤1液型の封孔剤で、空気中の水分と化学反応を起こして無機系ポリマーになりガラスのように固くなります。
石材の微細孔を塞ぐ効果と合わせて、紫外線対策にもなるので防水効果は約7年以上といわれアシスコート同様に水拭きだけで汚れが落ちやすくなる状態をつくります。
お墓の掃除や墓石のメンテナンスは、お墓参りの前後にご自身だけでおこなうのは難しいものです。
そのような場合には、石材店などの墓石の専門家にクリーニングを依頼するとよいでしょう。
墓石クリーニングとは、墓石をキレイに洗う作業をはじめ、周辺の環境整備を含めた行為を指します。
業者に墓石クリーニングを依頼することで、石塔や竿石、外柵のほか区画内をスチーム洗浄や高圧洗浄などで落ちにくい汚れなど墓石を傷つけることなくピカピカにすることができます。
日頃メンテナンスに行きたいけど、仕事などでなかなか手が付けられない方などにはありがたいサービスになります。
お墓掃除を専門の業者に依頼する際の相場は、お墓の大きさにより異なりますが一般的に3万円~6万円くらいが相場になります。
外柵のクリーニングや敷地外の掃除など追加すると、前述の単価に5千円~2万円程追加されるケースが多くあります。
クリーニングを依頼する業者には、大きく分けて「石材店」「墓石、お墓クリーニング専門業者」「便利屋」の3種類の業者がいます。
石材店は当然ながら墓石やお墓のスペシャリストなので、安心してクリーニングを任せることができます。
墓石、お墓のクリーニング専門業者は、細かな掃除には定評があるものの、石材の劣化など墓石への対応はできません。
墓石の劣化などが発見された際には、結局石材店に依頼することが必要になります。
また、便利屋はさまざまな事を代行してもらえて便利ですが、クリーニングのレベルはご自身でするのとあまり変わらない程度と考えるほうがよいでしょう。
業者へのお墓のクリーニング依頼は、スポット的な依頼のみの対応と思われがちですが、年2回や年4回など年間を通して定期的に掃除をおこなってもらえるサービスもあります。
ご自身で定期的なメンテナンスができる際にはご自身で対応して、多忙や体力的に難しくなってきた際には定期的なメンテナンスを利用すると、お墓を常にキレイに保つことができてよいでしょう。
昨今のコロナ対策や住環境の変化に伴い、お墓参りの考え方も柔軟になってきています。
高齢化社会に伴い、お墓参りに行きたくても体力的に難しい方などが多くいらっしゃいます。
そのような環境下の中で注目されているのが、お墓参りの代行サービスです。
故人を尊ぶためにお墓参りに行くのに、その行為を代行してはいかがなものかなど思われますが、日本では過去より代行の風習はありました。
現在でも「お伊勢参り」をするのは時間が掛かりますが、昔の方はもっと困難なことでした。
当時は代行者や代表者がお伊勢参りに行く「代参」が盛んにおこなわれていたようです。
お墓参りの代行サービスも同じ考えなので、近年注目されているサービスになります。
お墓をキレイに保つための効果的な掃除方法と、墓石クリーニングを業者に依頼する際の選び方などを解説しました。
お墓は定期的に訪問してメンテナンスすることで、故人を供養することにも繋がります。
しかしながら定期的なお墓の訪問は、生活環境の多様化に伴い難しくなってきているのも現状です。
そのような場合には、石材店などに墓石クリーニングの代行やお墓参り代行をお願いするとよいかもしれません。
誰にお墓を掃除してもらいお墓参りをするのかという考え方よりも、日々キレイなお墓で供養したいという気持ちを優先する環境に変化してきています。
お墓の掃除で迷った際には、石材店に一度相談してみてはいかがでしょうか。