2024.07.16
墓石は一生に何度も購入するものではありませんので、相場や価格帯を聞かれても即答できる方は多くないはずです。
大きな金額の買い物になるので、実際に購入する際には失敗しないように事前に相場を把握しておきたいものです。
ここではそのような時のために、墓石の値段とクオリティの違いや、購入する際の選び方などを解説します。
一般的に暮石の費用というと、「石材費」「墓石への彫刻費」「工事費」「土地代」を合算させた費用のことを指すことが多く、購入する金額も都道府県や石材店により大きく異なります。
お墓の種類も「家墓」「両家墓」「個人墓」などにより費用が異なりますが、ここでは一般墓での墓石について解説します。
暮石の単価は石材の種類により50万円〜300万円と大きく幅があります。
2020年度の墓石購入金額の全国平均額は157万円*となっていますが、地域によってはシンプルな暮石がよかったり豪華な物がよいとされる地域などもあり、平均値が高い地区もあるようです。
*(株)第一石材「【2020年版】全国のお墓購入価格の平均はいくら?」参照
日頃から墓石に興味がある方以外は、価格帯がどのような要素で決まっていくのか想像しにくいものです。
墓石の価格を決めるのは次の3つの要素になります。
お墓を建てる費用を大きく左右するのは、石材店が指定されているかどうかです。
一般的に地方自治体が経営している公営墓地は、石材店の指定がなく自由に石材店を選択することができます。
一方で民営の霊園などのほとんどは、石材店が提携されており自由に選ぶことができません。
自由に石材を検討できる方が、墓石の価格としては抑える事ができるケースが多いようです。
どのような石材を選定するのかでも、暮石の価格は大きく変動します。
墓石に使用される石材には「花崗岩」「斑レイ岩」「閃緑岩」「安山岩」の4品種が使用されるケースが多く、採石される場所により更に細かく種類分けされます。
なかでも、国産の石では香川県産の庵治石(あじいし)が最も高価な石材として有名です。
現在国内で建立されているお墓の大半は輸入石材を使用しているケースが多く、その製造元は中国が占めていますので安価なイメージがあります。
実際に海外の石材の方が安価な傾向がありますが、インド産の高価な石材である黒御影石のクンナムなどは国産の一般的な石材よりも高価になります。
海外品が安価であるという事ではなく、国内も海外もそれぞれ石材にクレードがあると認識しておくとよいかもしれません。
どのような形状の墓石にするかという事と、幅広い面積の台座を作成するのか否かでも費用は大きく変わります。
1段作りの墓石よりも2段にした方がより高価になりますし、面積の広い墓地に墓石を置く場合にはより多くの石材が必要になるので費用は高くなります。
基本的に墓石の値段は品質とクオリティに比例します。
安価な墓石の場合は、高価な墓石よりもオーソドックスな形状のものが多く材質も劣化が早い傾向にあります。
しかしながら優良な業者であれば、安価で購入した石材でもアフターフォローが充実しているので安心して購入する事ができます。
墓石の購入をできるだけ安価で抑えたいとお考えの場合は、特に石材店の選定に注意してシンプルな形状の墓石にするとよいでしょう。
前途で暮石の相場を解説しましたが、一般的な相場の暮石を購入する際にはメリットとデメリットがあります。
墓石の値段は価格差の幅が広すぎて正解がわかりにくいものです。
価格が安すぎても体裁を考えて購入を躊躇してしまう事もあり、また価格が高すぎても予算からかけ離れてしまい購入に迷ってしまいます。
平均的な相場の墓石を選ぶ事で、相場であることの安心感と一定以上のクオリティを期待できるので、粗悪品を購入してしまう不安を解消できます。
平均的な相場で墓石を購入することで一定の安心感を得る事ができますが、価格だけで判断しては後々後悔することになるかもしれません。
実際に相場のクオリティで造られていた墓石ならよいですが、悪質な石材店などにお願いしてしまうと安価な石材で値段を吹っ掛けられて請求されてしまうこともあります。
平均的な相場の墓石を購入する際にも、価格だけではなくクチコミなどにより石材店の信頼度を調査して選定には注意しましょう。
高価な墓石と普通の暮石とでは何が違うのでしょうか?
一般的に墓石のベース価格は石材で決まりますが、その価値は石をどのようにカットして加工するかで大きく変動します。
墓石の値段を決める要素として「石目の美麗性」「石材の品質」の2つの要素があります。
石目の美麗性はある程度好みもありますが、一般的に石の目が細かい方が粗い石材よりも美しく見えます。
最終的にお墓として完成した際に、石目が揃っている暮石の方が纏まりがありお墓としてクオリティが高いとされます。
石材の品質を表す際には、吸水率と圧縮強度の数値を利用して比較します。
一般的に吸水率が高い石の方が、雨などで濡れた際に経年劣化しやすいといわれます。
また、圧縮強度が高い石材の方が強度が高いので長期間墓石としての形状を保持してくれると期待できます。
暮石には石材の他にも様々なオプションパーツが存在します。
お墓の敷地を囲む外柵(がいさく)や、照明の役割を果たす墓前灯篭、墓地にスペースがある時などに建てられる墓誌や物置台など複数のオプションがあります。
オプション品の参考価格は下記のようになります。
オプションパーツ | 参考価格 |
外柵(がいさく) | 4㎡70万円~ |
墓前灯篭 | 13万円〜 |
墓誌(戒名板および法名板) | 12万円〜 |
物置台 | 2万円〜 |
上記以外にも拝石や水鉢、花立や香立など沢山のオプションがあるので予算に合わせて必要なものを選択するとよいでしょう。
オプション品の価格はあくまでも一般品での参考価格で、用いる材質やその希少性などにより費用は大きく変動するので事前によく石材店と打ち合わせをして決めると安心です。
一般の消費者から見ると、墓石の価格差や品質などわかりにくいものです。
同じ石材で複数の石材店を周り相見積もりをとった際に、思った以上に価格の差があるのに驚くかもしれません。
ここからは墓石の材料に関する知識と、加工による価格への影響を掘り下げて解説します。
ダイヤモンドやサファイアに産地ごとで品質が異なるように、石材も採石される場所により同じ石材でも石質や色合いが異なる事があります。
一般的に石材は等級により価値が格付けされており、特急・1級・2級に分けられます。(石材店によってはさらに細かく特急、1級、並、2級、B級やその他の呼び方などに区分けている場合もあり)
1級品以上の石材は基本的に高品質とされ長期間雨風に晒されても錆が出にくい石で、暮石材として使用されます。
2級品以下の石材は経年劣化で錆の出やすい石材なので、建材などに使用される事が多くなります。
一般的に墓石の形状は「和型」「洋型」そして和洋を組み合わせた「和洋型」の墓石があります。
和型暮石は昔から日本に根付く伝統的な形状の暮石です。
一般的に日本の墓地でよく見かける形状がこの和型になります。
身長の高い暮石に外柵や灯篭、供養塔などを設置するので重厚感と堂々とした威圧感が特徴です。
国産御影石などを使用する事で気品と繊細さも演出可能で、日本古来のスタイルが好みである方に好まれる形状になります。
和型墓石の価格はシンプルな形状のもので80万円代から建立ができ、一般的な大きさの和型では110万円〜180万円の費用が相場になります。
和型と異なり背の低いデザインの洋型暮石は、地震に対して耐震強度が強いメリットがあります。
墓石自体もしなやかに削ってあるデザインが多く、優しさや気品などを感じさせます。
カラー石材との相性も良く、差し色を入れた石材やメッセージなどを彫刻する事も可能でモダンな印象の墓石にする事ができます。
他の人と異なるオリジナリティの高いスタイルが好みの方に人気の形状です。
洋型墓石の価格は、シンプルな形状のもので50万円代から建立する事ができ、一般的な洋型では80万円〜160万円の費用が相場になります。
和洋型はその名の通り和型と洋型の良い面を掛け合わせた墓石です。
和型の伝統的な形状と重量感に、洋型の優しさを付与した柔らかなデザインが特徴です。
和型の特徴である大きな石塔に、洋型の繊細な彫刻を施したりとデザイン性豊かな墓石にする事もできます。
個性豊かなお墓を希望されている方におすすめの形状になります。
和洋型墓石の価格は、シンプルな形状のもので60万円代から建立ができ、一般的な和洋型デザインでは100万円〜160万円の費用が相場になります。
墓石の値段によるクオリティの違いと、形状を選ぶポイントなどを解説しました。
一般の方には石材の品質はわかりにくいので、信頼できる石材店の力を借りて予算に合うお墓の設計を進めていくと安心です。
墓石の種類や形状は様々なものがあるので、親族と話し合い故人のイメージにあう形状や予算に落とし込むとよいのではないでしょうか。